まずは腎臓のしくみをしろう
1 腎臓のきほんを知ろう
こんにちは。たにまるです。
今日もお会いできてうれしいです。
今回は、ネフローゼについて「正しい知識を得る」ために、
具体的にどのような知識を得ていくとよいのかについて、
以下の2冊の本の中身をご紹介しながら、お伝えしたいと思います。
今回は、腎臓のしくみや働きなどのきほん、についてです。
ネフローゼを知るには、まず腎臓から!
2 なぜ腎臓の基本を知った方がいいの?
なんで腎臓のしくみから?ネフローゼについて知りたいのに・・・
と思う方もいる方もいるかと思いますが、
そもそもネフローゼとはどのような病気でしょうか?
『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』では次のように説明されています。
ネフローゼ症候群とは、蛋白質が尿中へ大量に漏れ出てしまう状態のことで、血液中の蛋白質の濃度が低下し、体がむくむ病気です。
『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』p28
わかるようでわからないような・・・。
この説明を読んだときに「なるほど!」と思った人の方が少ないのではないでしょうか?
『蛋白質』ってなに?どう読むの?
つまりはこの症状は体にどんな影響を与えているの?
など疑問がある方も多いかと思います。
では続いて、もう少しやさしい言葉で説明されている『こどもの腎臓病と治療』の説明をみてみましょう。
①ネフローゼ症候群とは?
『こどもの腎臓病と治療』p23
尿からたんぱくがもれて、血液中のアルブミンが少なくなりからだがむくむ病気です。
ここでは「蛋白質」とは「たんぱく質」のことだとわかりましたが、まだよくわかりません。
そもそも「アルブミン」ってなに?
と、さらに疑問が湧いてきます。
こうした疑問たちを解決するためには、腎臓のきほんについての知識が必要なのです。
確かに以前ご紹介した2冊は、お医者さんでない、一般の人や保護者の方に向けて書かれています。
ですが、ネフローゼについて説明するときにはどうしても腎臓などに関して医学的な言葉を用いて説明する必要があります。
だからこそ、ネフローゼを理解するためには腎臓についての「正しい知識を得る」ことが必要なのです。
でも安心して!本でわかりやすく説明されてるよ!
3 たとえ話やイラスト、図表で理解してみよう
最初はネフローゼや腎臓のしくみについて「理解するのが難しい・・・」と感じるかもしれません。
ですがこの2冊はさまざまな工夫を本の中にいれて、わかりやすく説明しています。
それぞれどのような特徴があるのか見てみましょう。
3−1 伊藤秀一編『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』(2018年・東京医学社)
この本の中で、腎臓のしくみについては「第1章 やさしくわかる腎臓のしくみと働き」という章で説明されています。
文章はわかりやすく、専門的な用語やわかりづらい言葉は、例えばなしやイメージ、イラストなどを使って、丁寧に腎臓のしくみを説明しています。
たとえば「はじめに」の説明を見てみましょう。
人間の身体は約60兆もの細胞からできていると言われています。1個1個の細胞が生きていくためには、細胞を構成する蛋白質(たんぱくしつ)を常に新しく交換し、良い状態に維持していく必要があります。このような細胞活動の結果、細胞内には古くなり不要となった蛋白質が老廃物となってたまります。もし、細胞内がこのような老廃物でいっぱいになれば、細胞の活動は停止し、死んでしまいます。
『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』p16
そのため、細胞は細胞の外に不要な老廃物を捨てます。捨てられた老廃物は血液に乗って流れていきます。最終的に、血液から老廃物を選り分けて身体の外へ捨てる役割を持つ臓器が腎臓です。
読んでみてどうだったでしょうか?
全部はわからなくとも、腎臓とはどんなものなのか、少しイメージを持てたのではないでしょうか?
とはいえまだまだわかりにくかいと思いますので、続く「①老廃物をどのように捨てるのか」では、腎臓のしくみをおもちゃ箱の掃除に例えて説明されています。
少し長いですが、引用して見てみましょう。
腎臓はどのように老廃物を捨てているのでしょうか?血液からいらないものだけを選び出して捨てるのは、かなり効率が悪い作業です。
『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』p16-17
例を挙げます。子どもがおもちゃ箱に、おもちゃ以外のゴミを入れていたとします。(略)。それでは、おもちゃ箱を掃除するためには、どうすれば効率が良いでしょう?おもちゃ箱からゴミだけを探し出して一つずつ捨てる作業は、時間と手間がかかります。必要なおもちゃをかき分けてゴミを探す、というのは大変です。しかも、これではいらないものを見落として完全にきれいにならない可能性もあります。
手っ取り早く片付ける方法は、おもちゃ箱をひっくり返し、必要なおもちゃを箱の中に戻して、残ったものをゴミとしてまとめて捨てる、という方法ではないでしょうか。
実は、腎臓も同じです。
このように腎臓のしくみを、例を挙げて説明することでイメージをつかみやすく工夫されています。
こうした配慮がこの章には至る所にあるので、腎臓のきほんを理解するためにとても参考になるかと思います。
難しいなぁ・・・と感じたら、まずはこうしたわかりやすく工夫されている部分から読んでみよう!
3−2 後藤芳充編著『こどもの腎臓病と治療』(2018年・メディカ出版)
ですが、なかなか文章中心では理解しづらい人もいるかと思います。
そこで上記の本と合わせて『こどもの腎臓病と治療』の「第1章 こどもの腎臓病のきほん」を読んでみることをおすすめします。
この章はカラーページになっており、イラストもカラフルで視覚的にわかりやすく、「糸球体」「原尿」などのキーワードには赤色で強調されて、あとで見返しやすくなっています。
加えて、腎臓のはたらきを図表にしています。3−1でご紹介した本を整理して理解するときとても有用です。
ぜひこれらの本を活用しながら腎臓への理解を深めてみてください。
『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』の文章だけだとわかりづらい時には、『こどもの腎臓病と治療』で整理された図表をみると理解しやすくなるよ!
4 腎臓のしくみを知る意義
腎臓のきほんを理解する意義については、『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』の「第1章 やさしくわかる腎臓のしくみと働き」の「おわりに」でも説明されています。
一部抜粋して、この記事を終えたいと思います(太字はたにまるが独自につけています)
確かに腎臓疾患は治療期間が長くかかるものも多く、自覚症状に乏しい場合も稀ではありません。しかし、ご家族やご本人の判断で治療を中断してしまった結果、取り返しがつかなくなることを経験することも事実です。そのため、今一度、腎臓が行っている機能に理解を深め、失われた腎臓を回復させる治療法がない現状と、治療で腎機能を守る意義について再認識していただければと思います。
『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』p25-26
今日も読んでくれて、ありがとうございました!