小児ネフローゼ

ネフローゼの子どもたちの心のケア

tanijima

1 子どもたちへの心のケアが必要

たにまる
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こんにちは。たにまるです。

今日もお会いできてうれしいです。

今回は、ネフローゼの子どもたちの心をケアすることの重要性についてお伝えしたいと思います。

この記事では、以下の本の部分を参考にしながら、どんなことが書かれているのかについてご紹介していきます。

伊藤秀一編『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』(2018年・東京医学社)のうち、「第6章 知っておきたいⅠ 心のケア」

ネフローゼに関してはもちろん「正しい知識を得る」ことも重要ですが、

もう一方でそのお子さんやきょうだいへの心のケアは欠かせません。

たにまる
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つらいときに、心をケアしてくれる大人がいると、子どもにとって心強いよね。

2 子どもたちの傷つきを知る

これまでの記事で見てきたように、ネフローゼ症候群になるということは、大変なことです。

日常生活で気を使わないといけないことや再発を防ぐための努力、再発したときの身体的なつらさや薬の副作用など

さまざまな大変さにこどもたちは直面するかと思います。

ではそのなかで子どもたちの心はどのように傷ついていくのでしょうか。

『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』では次のように書かれています。

お子さんは何に傷つくのでしょうか?『病気なのだから辛いに決まってるでしょ』と言ってしまいたくなるかもしれませんが、よくよく話を聞いてみると、病気による身体の症状もさることながら、病気とその治療によって失うものや、病気を持った自分という自己イメージによって傷ついていることがわかります。傷つく理由が病気そのものではないということから、回復には時間がかかるかもしれませんが、心のケアの可能性と方向性が見えてきます。

『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』p140-141

心の傷とは目には見えないものなので、どのようにケアをしたらいいかわからない難しさがあります。

だからこそ、子どもたちが実際にはどの点に傷ついているのかを理解することが、ケアの一歩になります。

たにまる
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子どもたちが実際に何に傷ついているかは、案外わからないことが多いよね。

3 ネフローゼは、子どもたちの心のどこを傷つけるのか

では実際にどのようなことに、子どもたちは傷ついているのでしょうか。

『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』では以下5つにあると分析されています。

①日常性を失うこと

②理解できないこと

③慢性化すること

④告知と秘密

⑤スティグマ

例えば、ぼくの場合は日常学校で楽しく友達と過ごしていました。

ぼくにとっては、この学校で友達と過ごすことが、自分らしくいられる日常でした。

その生活が急にネフローゼと診断を受けて、大きく変わることになりました。

ぼくにとっては、日常が突然なくなり、まるで自分が自分でなくなったような感覚になりました。

「ネフローゼ症候群」と言われても、ぼくにとってはなかなか理解することができなくて、その理解できないこと自体がストレスでした。

ネフローゼは治るというよりも、今後付き合っていく病気です。

これまでの日常とは違う生活が続いていきます。

予想できないことも、自分の力でどうすることもできないようなこともあって、無力感や不安を感じる状態になりました。

時には知りたくないことも、直面したくない状況も知らないといけない場面もありました。

逆に大人がぼくを傷つけないよう作った秘密に、むしろ傷つけられたこともあります。

時には、周りの人たちからの偏見やネガティブなイメージに傷つくことだってあります。次第にぼくの中にその偏見やイメージが、できてしまっていました。

たにまる
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こうした数々の傷つきに子どもたちが直面することがあるのです。

そのとき、周囲の大人としてはまず子どもたちの傷つきを理解することが大事なケアへの一歩になります。

4 ネフローゼがトラウマにならないためにできること

『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』には、それぞれの傷つきに対して周囲ができることについても丁寧に書かれています。

その時、お子さんのサポートにおいて気を付ける重要なポイントは3つあると書かれています。

①安全な居場所の確保

②主体性の維持

③自己効力感の育成

まずは何より保護者さんなどの周囲の大人が落ち着いた心で子どもたちのそばにいることが、不安を和らげることにつながります。

ここでいう居場所とは「実際の場所というより、存在を認めてくれる人間関係や期待されている役割」(p149)という意味です。

周囲の大人が自分自身も心穏やかでいて、そのためにはネフローゼに関して正しい知識を得て、不安を取りのぞくことも大切ですし、その大人たちが子どもたちの存在を認めることで、こどもたちが安全を感じることができます。

次に重要なことは、子どもたちに治療の中で主体的に役割を担ってもらうことです。例えば、薬を忘れずに飲むことや、痛みや違和感を感じた時には周囲に知らせることなどが挙げられます。

この主体性は、日常生活でも育むことができるものです。日常生活から「自分が動けば状況に対処できるという感覚」(p150)である自己効力感を育むため、お子さんのサポートをしていくことが重要です。

たにまる
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ぼくにも、認めてくれる大人がいて、その人がいたからこそ、なんとか頑張ることができたんだよね。

5 年齢による異なるケアのあり方

そのほか『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』では、年齢によって異なる子どもたちのサポートの仕方をそれぞれ説明しています。

確かに、乳幼児期や小学生の頃、思春期の頃ではサポートの仕方は異なります。

ですが、子どものサポートをする上で共通するのは「成長を通じて主体性と責任を育む」(p153)ことだと、説明されています。

子どもは自分自身の人生を自らの力で歩んでいきます。

だからこそ周囲の大人としては、子どもを守るだけではなく、自分の力でできることはしてもらうことで、自信も力も育むことが重要なのです。

たにまる
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子どもを守りたい気持ちもわかります。でも子どもが自分で人生を歩いていけるように、見守ることも大事。

6 きょうだいへの配慮も

また一方で、ネフローゼの子どものきょうだいについての配慮の大切さについても『新 子どもの腎炎・ネフローゼ』では書かれています。

あるお子さんがネフローゼと診断されると、家族の時間がその子中心になることも多いでしょう。

そのときこそ、他のきょうだいのためだけの時間を確保することが重要ですし、

またきょうだいに対しても、ネフローゼについての説明はできるだけすることが大切であると書かれています。

たにまる
たにまる

「ヤングケアラー」という言葉にも関わることだね。

7 おわりに

今回の記事では、ネフローゼと心のケアについてお伝えしました。

・こどもたちはいったい何に傷ついているんだろう?

・こどもたちを傷つきから回復するためにはなにができる?

・きょうだいに対してはどう接したらいい?

などについて、また本にて確認いただければと思います。

次回の記事では、サポートの制度について取り上げたいと思います。

たにまる
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今日も読んでくれて、ありがとうございました!

ABOUT ME
たにまる
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3歳から難病を発症。その後何度も入退院を繰り返しながら大学院まで修了。 学生時代に出会った学習障害の男の子との出会いをきっかけに療育や不登校指導、外国籍生徒指導など特殊指導を専門に従事
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